2014年の映画。
監督は、デイミアン・チャゼル。 
原題『鞭打つ』 
上映時間1時間47分。

2014年・第30回サンダンス映画祭のグランプリ&観客賞受賞を皮切りに世界各国の映画祭で注目を集め、第87回アカデミー賞では助演男優賞ほか計3部門を受賞したオリジナル作品。世界的ジャズドラマーを目指して名門音楽学校に入学したニーマンは、伝説の教師と言われるフレッチャーの指導を受けることに。しかし、常に完璧を求めるフレッチャーは容赦ない罵声を浴びせ、レッスンは次第に狂気に満ちていく。「スパイダーマン」シリーズなどで知られるベテラン俳優のJ・K・シモンズフレッチャーを怪演し、アカデミー賞ほか数々の映画賞で助演男優賞を受賞。監督は、これまでに「グランドピアノ 狙われた黒鍵」「ラスト・エクソシズム2 悪魔の寵愛」などの脚本を担当し、弱冠28歳で長編監督2作目となる本作を手がけたデイミアン・チャゼル。(映画.com)

出演は、マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、ポール・ライザー、メリッサ・ブノワ、オースティン・ストウェル、ネイト・ラング、クリス・マルケイ、デイモン・ガプトン、スアンヌ・スポーク、マックス・カッシュ、チャーリー・イアン、ジェイソン・ブレア、カヴィタ・パティル

制作総指揮にジェイソン・ライトマン、ゲイリー・マイケル・ウォルターズ、クーパー・サミュエルソン、ジャネット・ヴォルトゥルノ=ブリル

脚本はデイミアン・チャゼル、音楽をジャスティン・ハーウィッツが担当しました。

最初に伝えておきたい事は、この作品は素晴らしいという事です。
今まで観てきた作品の中でもトップクラスなのは間違いありません。
この映画を音楽の専門家や詳しい人がどう思うかは知りませんが、映画としてこれ以上はないぐらいの出来なのであります。

そして色々な作品がある中で、これほど見た後で感じ方が人それぞれに異なる作品も珍しいと思いました。
人によっては、教師のイジメというし、いやいや違うでしょ!とか・・・。
だけど、観た人はたぶんこう言います。面白い!
これほど監督の伝えたい事が、まっすぐ伝わってこない作品というか答えが簡単に出ない作品は珍しいし、一歩間違えれば駄作になるスレスレの作品です。ある意味では完璧な作品ではないというか、完成していない作品なのであります・・・。

もう、ネタバレなしで説明するにはあまりにもシンドイ!(泣)

そんな中で、この作品がここまで素晴らしくなった要因にやはりJ・K・シモンズの演技があると思いました。(かなり)
J・K・シモンズが主演レベルの役を演じるのも珍しいし、相当この役には気合いが入っていたんだと観ればすぐに分るはず!それほどビックリするぐらいの演技力でもはや別人です。もうスパルタ教師がハマりすぎて怖いです。もうJ・K・シモンズに街中であったら目が合わせられないほどです!(大げさ)
もうJ・K・シモンズが役に入りすぎて音楽バカにしか見えないわけであります。
ファッ○連発プロレスラー顔負けの迫力で生徒に凄みます(笑)


監督のデイミアン・チャゼルは、ドラマーを目指していた頃にひどいシゴキで挫折してそのトラウマをもとにこの映画を制作しましたが、完成までには苦労もありました。制作資金を集める為に、まず短編版を作り、その作品がサンダンス映画祭で短編部門の審査員賞を受賞した事でようやく長編『セッション』が撮られました。今度は撮影期間がわずか19日、編集に1カ月で仕上げないと映画祭に間に合わないという事態が発生。マッハでのスピード撮影の間には交通事故にも遭い、病院に担ぎ込まれながらも撮影を続け、奇跡的に完成したという作品です。

一見、音楽好きの若者のサクセス・ストーリーのような展開を見せながら、そんなありきたりな成功物語ではない事を見る側に伝えてくる作品。

監督の言葉で表現すると『生徒をより高い領域へと追い込むのが教師の務めなら、どこまでやれば充分なのか?誰かを偉大にするにはどうすれば良いのか?といった音楽を別の角度から捉えた映画を作りたかった。これは音楽の苦悩と恐怖を描いた映画だ。』となります。

天才を生み出そうとする教師と天才になろうとする生徒。
はたしてその結末はいかに・・・。

そんな『セッション』の感想は素晴らしい作品でした。(やっぱり)

私が感じた事は、生徒役のニーマンデイミアン・チャゼル監督自身を重ねていて、ひどいシゴキに大してある意味で否定的な所があり、批判したい!悔しい!って思いがあるわけです。そのシゴキで鬱になったり、自殺したりする奴もいるんだぞ!って感じに。

だけどJ・K・シモンズ演じる鬼教師の音楽に対する妥協のない姿勢、完璧主義に対して、うん。うん。ってうなずいてしまう、肯定してしまう自分もいるわけであります。天才を生む為には、これぐらい厳しくするしかないんだ!っていうJ・K・シモンズの言葉に納得してしまうわけなんです。

実はニーマンフレッチャーは非常に似たもの同士なんです。もう、二人にしか理解出来ないほどの音楽に対する価値観が一緒なんです。ただ、立場が違うだけで目指しているものは一緒なんです。

この作品の凄いところは、そのテーマを監督自身が観ている観客にある意味で、まる投げした所にあります。

それは、最後のシーンですよね。最後のシーンでフレッチャーはドラマーとしてニーマンをバンドに呼ぶんですが何故ニーマンを呼ぶのか?仕返しのためか?仕返しのために呼ぶなら元々のドラマーをクビにしてまで呼ぶのか?ドラマーが居なければバンドとして成り立たないのに。もうフレッチャー自身も良く分ってないんじゃないでしょうか。それはやっぱりフレッチャーにとって、ニーマンは特別な存在だからだと思います。

最後フレッチャーはうなずきながら何かを言うんですが、口元は見えない、台詞の音もない、ここがポイントです。

ちなみに私の答えは〝Good Job〟でした。

どこまで監督が計算して作り上げたか分りませんが、結果として映画の神様が舞い降りた作品となりました。

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